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原型師への道・別館

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ファンド(石粉粘土)の使い方

 

石粉粘土の画像

「石粉粘土の使い方を詳しく教えてほしい!」
そんな方に答えるため、詳しい使い方や特徴をまとめてみました。

 

・まず、石粉粘土とは造形用に昔から良く使われてきた材料で、 これは紙粘土の繊維質を少なくして、なおかつきめ細かくして、 ナイフ等で削りやすく盛りやすくした物です。

 

また臭いはほとんど無く、(鼻を近づけて匂いを嗅ぐと、微かに 防腐剤のような匂いがする製品もあります。しかし気になったことは ありません。) 中の水分が抜けて乾燥することで硬化します。

 

・値段はだいたい1袋400gで税別300円~500円程度です。 他の造形材料と比べると圧倒的に安いですね。

 

・性質は非常に紙に近いです。シャーペンで書き込んだり、消しゴムで字を消したりできます。 これはペン等で大体のアタリを付けやすく、大変便利です。

 

・乾燥後に、水分が抜けた分わずかにヒケ(縮むこと)が生じます。元々含んでいた水分が 多いほど、結果的にヒケも大きくなりますが、実際に使用していて気になる事は ほとんど無いです。ごく僅かに縮むことだけ念頭に入れておいて下さい。

 

・また水に溶けます。その性質を利用して、水を含ませてコネて軟らかくしたり、ファンド同士の 接着面に水を付けてくっつける事もできます。大変便利です。

 

・欠点としては若干もろくて折れやすい所ですね。ペーパーで磨くと毛羽立ちが起きやすく、あまり 細かい造形には適しません。そのかわり削りやすく、値段も最も安価なので、 初心者には断然おススメです。

 

ナイフでのカット画像

・粘土の銘柄によって、固さや削りやすさ、キメの細かさがかなり違います。
このあたりは好みが分かれるので、固すぎず、軟らかすぎない銘柄を見つけて下さい。 おススメは軽量石粉粘土タイプです。

 

・実は若干湿気を吸います。湿気を吸いすぎるとボソボソした切れ味になり、 熱でしっかり水分を抜き乾燥させるとシャープに切れます。 ぜひ完全乾燥させてから削りましょう。

 

・色は基本的にほとんどの銘柄が白ですが、なかにはグレータイプも あります。貴方のお好みで選んで下さい。

 

使用上のコツ

作業イメージ画像

・使い方としては、まずは多くの初心者の方がヒビ割れを おこさせやすいようです。原因は石粉粘土の表面が乾燥ぎみな状態で使用する 為にヒビ割れがおきやすくなります。これの予防法としては、十分な水分を 全体に含ませることが肝心です。

 

・石粉粘土は実際には適度な水分を含ませながら使用するものです。 手元に水を入れた不要なコップを置き、その水で石粉粘土を 湿らせて使います。

 

・まずは袋から必要量取り出した石粉粘土を全体にまんべんなく手でコネて下さい。 この作業は、粘土全体の水分を均一にする為に必ず必要です。 大概このままでは水分が不足していますので、コップから適量の水を 指に付けて、その指で粘土を練って水分を足します。

 

・初心者の方は水を足さない為に、ここで盛り付けてヒビを起こす パターンが多いようです。

ファンドがヒビ割れを起こさない、適度な水分を含ませた状態に なるように、徐々に水分を足して、手で練っても割れない柔らかさに します。この辺りは経験も必要ですが、水分は少ないよりも多い方が 扱いやすいです。(限度もありますが。)

 

・手で練っているうちに、石粉粘土の表面の水分が指に移って 乾燥してしまうこともあります。水で湿らせた指で練ると防げます。

 

・盛り付けの際に、石粉粘土が水に溶ける性質を利用して、 盛り付けたい部分の接着面にたっぷり水を付けて、軽く押し付ける ようにくっ付けると、しっかり接着できます。

 

・逆にこの性質を利用して、あえて水を付けないで粘土の水分 のみで接着すると、後で剥がしやすくなります。 また、粘土には瞬間接着剤は使用しないほうが懸命です。 後で剥がれ易く、また剥がれると残った接着剤が邪魔になって くっ付けにくくなります。

 

・対処法としては、デザインナイフ等で固まった接着剤を削り取り、 水をたっぷり付けてから、よくこねた石粉粘土を少量付けて 接着させるのがベストです。

 

・また水を付ける際、細かい箇所で指ではやりにくい場合などは、 細めの筆に水を加えて水を付ける方法もあります。これなら ピンポイントで行えますので、とても便利ですよ。

 

・硬化後に折れた場合には、折れた面の両方に多めに水を付け、そのまま くっつけます。水で溶けた石粉粘土同士が水で接着されます。
そのまま完全に乾燥させれば接着完了です。

 

・もし折れた箇所に隙間があったり、腕や足などの、太くて頑丈に接着 したい場合には、接着面に水で濡らした石粉粘土をごく少量付けて 水だけでくっつけて下さい。これで隙間もキレイに埋まり強固に接着 されます。多少粘土がはみ出してもかまいません。乾燥させてから ナイフ等で削り取りましょう。

 

・また石粉粘土のヒビ割れた部分は、乾燥後にヒビの入った隙間に 水を付けて、新しく石粉粘土を盛り足して埋めることでヒビを 消せます。

 

・石粉粘土の違う銘柄どうしを混ぜ合わせて、好みの固さの物に ブレンドさせて使う事もできます。固い銘柄の物と柔らかい 銘柄の物を混ぜて、中間の固さに調整出来たりもします。

 

・毛羽立ちの対処方法としては、表面に少し水を付けてから指で 撫でて下さい。すべすべになって、かなり改善します。

・また、シンナーには溶けない性質がありますので、ラッカーパテ かサフェーサーをシンナーでかなり薄めてから筆で塗ると、 表面がコーティングされて毛羽立ちを抑えることができます。

 

ストーブでの乾燥画像

・電気ストーブなどで加熱する事で水分を飛ばし、飛躍的に 早く乾燥、硬化させることもできますが、あまり熱いと 表面が焦げたり、中の水分が急激に気化して膨張することも ありますので、火事にならないように御注意下さい。 目安としては、ギリギリ手がかざせるくらいの温度が ベストかと思います。

 

整形方法

石粉粘土の画像

・基本的には芯材に盛り付けて整形していきます。芯は硬化した石粉粘土を使うと馴染みが良く、やりやすいです。なお盛り付けや 芯材の上で伸ばしたり、ならしたりする際は指の方がやりやすいと思います。形を付ける場合はスパチュラを使用した方が楽な場合が 多いです。細かい部分などは特にです。

 

・髪の毛や指など、非常に細い部分は芯無しで作るのが 一般的だと思われます。

 

・硬化前や硬化後に関わらず、表面に水を付けて指でこすることで、 表面をスベスベ、ツルツルにすることができます。

 

・水分を含んだ状態ですと、どうしてもスパチュラや手に 粘土が付きやすいです。スパチュラにくっついた粘土はかなり 使用時に邪魔になるので、こまめに爪で削ぎとりましょう。

 

・指など、細くて折れやすい部分は粘土が柔らかいうちに整形し、 顔部分など、太くて折れにくく細かい部分は硬化させてから 削って整形するとやりやすいです。

 

・基本的な造形方法としては、柔らかい内に目的の形に近づけて、 完全に乾燥・硬化させてから余分な部分を 削り取り、まだ足りない部分には盛り付けをして 目的の形になるまでを繰り返します。

 

・硬化した石粉粘土を削った際に出る削りカスは、基本的には ゴミにしかならないです。ある程度たまってきたらまとめて捨てましょう。

 

保管方法

石粉粘土の保存時画像

・基本的に直射日光の当たらない涼しい場所に保管します。 乾燥防止の為ですが、引き出しの中等で十分です。未開封パッケージ ならそのままで保管し、開封したものはクチを閉じて、 中の空気をなるべく出してから、画像のようにクリップで 止めます。これですと中身も取り出しやすく、かつ乾燥も 防げて勝手がいいです。

 

・クリップは100均の大型のものを使っています。
・袋の中の石粉粘土が乾燥してきた場合は、一度袋から出して 水を加えて良くこねます。粘土の外側に水をたっぷりと付けておくのも 効果的です。

 

私が今までに使用した銘柄

ニューファンド

ニューファンド

造形用としての定番商品ですが、非常に硬いです。恐らくは、数ある ファンドの中でも最も硬い商品ではないでしょうか。
硬く折れにくいですが、その分盛り付け・盛り足しの際に馴染ませるのが 結構大変です。馴染ませにくい分、接着面もやや取れやすかったです。

 

また、練るのも大変で、その硬さの為に刃も痛みが早いです。良くも悪くも丈夫で硬い 銘柄なので、初心者にはあまりおススメしません。

 

ファンドソフト

ファンドソフト

私が使った銘柄の中で、最も柔らかいファンドです。粘土状というよりも、 ペースト状と言った方が近いです。大変練りやすく、ニューファンドとは 対極にある銘柄です。また硬化後の盛り足しの馴染みも最高です。

 

ただ欠点もあります。ちょっと柔らかすぎるというか、コシがあまり無いです。
また毛羽立ちがやや目立ちます。なので、柔らかいうちに形を出すのはやや苦手な印象です。 この辺りは好みが分かれるかと思います。

 

Mr.クレイ

Mr.クレイ (軽量石粉粘土) 300g VM006

私が現在愛用している銘柄です。軽量タイプの石粉粘土で、硬すぎず柔らか過ぎない ベストバランスのファンドで、また安価です。適度にコシもあります。
やや毛羽立ちもありますが、あまり気にならないレベルかと。馴染みが良い分 折れにくいので、初心者の方にはこれをおススメします。

 

プルミエ

パジコ ラドールプルミエ

高級軽量石粉粘土というだけあって、素晴らしいの一言です。非常にきめ細かく、 硬化後は絹のような滑らかさがあり、かつ柔らかいのにコシがあり、造形しやすく 削りやすい。まさに最高峰の銘柄です。今後はこれを常用します。

 

他にも使用した銘柄があるのですが、現在は生産終了しているようですので、 ここでは割愛させていただきます。

 

石粉粘土は、フィギュア製作材料の中でも最も安価で、なおかつ 初心者にも安心してオススメできる、最高のマテリアルだと思います。

 





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